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michel henritzi
21 mai 2018

DESERT MOON review

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OVERHANG PARTY魔術の庭を率いてきて本作リリース元のレーベルの主宰者でもある
東京拠点の音楽家・福岡林嗣(ヴォーカル、エレクトリック・フィドル、エフェクツ他)と、
フランス在住で同じくレーベル主宰者でもある
ミッシェル・アンリッツィ(ラップ・スティール・ギター、エフェクツ他)の、
“ユニット”の新作。

OVERHANG PARTYや魔術の庭における演奏ではエレクトリック・ギターが中心の福岡だが、
バンドを離れた時には様々な楽器を手にしており、
本作ではエレクトリック・フィドルがメインだ。
P.S.F. Recordsから2011年に二人の最初のコラボレーションCD『Outside Darkness』が出た頃、
ミッシェルのギターに惚れ込んだ友川カズキが激賞の言葉を綴ったこともあるが、
それも納得のラップ・スティール・ギターをミッシェルが奏でる。

インプロヴィゼイションにも聞こえるが、
“composed by FR & MH”となっているとおりの曲のテクスチャーだ。
二人は骨まで溶け合い、
心に焼けつくメロディがうっすらと漏れてくる。

VELVET UNDERGROUNDの『The Velvet Underground and Nico』の、
「Venus In Furs」「All Tomorrow's Parties」「The Black Angel's Death Song」のドローンを、
アップデートして研ぎ澄ましたようなサウンドにも聞こえる。
13分近くの「Song For Nico」という曲は、
そのファーストで歌っていたニコに捧げた曲のようだ。
そのニコがソロ活動で演奏していたハーモニウムの冷厳な響きと共振している。

インスト・パートが中心だが、
ジョン・ケイルを思い出すヴォーカルの“詠唱”と反復音のめくるめく調べの曲もたのもしい。
「暗い日曜日」という邦題で知られて日本でもたくさんの人が歌い演奏してきた、
1930年代に書かれたシャンソン・ナンバー「Sombre Dimanche」もカヴァー。
その曲ではフランス在住スペイン人のDana Valserのポエトリー・リーディングと
非常階段のJUNKOの“スクリーミング・リーディング”も、
確かなる磁場を生み出している。

高濃度のサイケデリックな空気感に覆われ、
静謐な、しかしアグレッシヴな歌心に包まれ、
深く覚醒される。

強力。

★Fukuoka Rinji/Michel Henritzi『Desert Moon』(Pataphysique DD-016)CD
カードボード状のペーパースリーヴ仕様の約48分6曲入り。

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